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2009年10月のFMICS



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戦争の知らざる事実

 先月、TV放映された『戦場のメロディ』を偶然に見た。

 太平洋戦争後、戦勝国側によって、捕虜や一般市民に対する殺害、虐待行為を問われた戦犯裁判が国内外で実施されたことは事実として知ってはいた。

 極東国際軍事裁判のことは、毎年8月になると、必ずどこかの放送局が取り上げているので、裁判の概要は広く一般的に既知のこととして位置づけられている。

 しかし、海外で行われた裁判に関しては私が知っていたことは、フィリピンでの山下奉文軍司令官の裁判とニュールンベルグ裁判だけであり、それも断片的な事項でしかなかった。

 広島で生まれ育った者として、この戦争末期における都市部への無差別攻撃、特に3月10日の東京大空襲では一夜にして10万人以上の命が奪われたこと。原爆投下でヒロシマは14万人、ナガサキでは7万人の命が瞬時に奪われたこと。は戦争中の出来事ではあるが、その史実を忘れることは出来ないことであり、この戦争の直接被従事者が攻撃目標・対象とされたことは誠に許し難いことである。なお、国民を総動員体制に組み込んでいった当時の政府は非難されなければならない。 さて、戦争状態を終結させるために、昭和26年9月8日に、サンフランシスコで日本が連合諸国との間で調印した講和条約が締結され、翌27年4月28日に発効して日本の独立が回復された。

 だが、この年の1月19日夜から翌早朝にかけて、フィリピンで14名の死刑が執行されたのである。この中には無実の方もいたのである。

 講和条約が発効され日本中が復興へと沸き立っている5月に、歌手渡辺はま子の下に一通の封書が届いた。それは、日本人教誨師加賀尾秀忍から送られたものだった。

 彼女は、戦後7年を過ぎてもフィリピン・モンテンルパ刑務所に百人以上の元日本兵が戦争犯罪人として収容され、死刑執行を待っていると知ることとなった。便箋には、戦犯死刑囚・代田銀太郎の望郷詩と、同じ死刑囚・伊藤正康の作曲したメロディー譜が書かれていた。

 早速彼女は、「ああモンテンルパの夜は更けて」をレコードに吹き込み、モンテンルパに捕らわれた戦犯の存在が広く知られることとなり、その年の大ヒット曲になったのである。当時、日本とフィリピンとは国交がなく、日本政府も救出の手だてがなかった。そこで、国から見放された彼らと手紙をやりとりして励まし続けた。

 遂に、同年12月彼女は現地の死刑囚を慰問して彼らの面前で歌ったのである。そして、彼女はオルゴールをキリノ大統領に送るなど減刑・釈放を訴え続け、翌年に大統領は死刑囚59人を含む戦犯108人全員の釈放を決断したのであった。

 戦後60余年も経過しているが、まだ戦争が終わったと思ってはいない方々も数多く居られるのである。歴史の真実を後世に伝えて行くことが、今まさに必要なのではないか。

(鳥居 聖)



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バブル崩壊の申し子たちを

 1991年バブルが崩壊したといわれる年に生まれたのが、現在の高校3年生です。バブル景気は85年のプラザ合意をきっかけに86年から始まり、5年後には不動産や株等の資産が泡となって消えたといわれた時代でした。大学では1991年に大学設置基準の大綱化があり自己点検・評価が努力義務化され、各大学が護送船団方式で懸命にルールに従って粛々と大学運営をしていました。その後、2003年に大学設置基準は大きく緩和され、いままでの校地面積はこれだけないといけない、定員に対して教室は何平米必要、専任教員は何人、図書は何冊などの細かな規程が緩和されました。その頃から、「大学の死活問題はマーケットに決定させる」という市場原理主義が当たり前のことようにいわれるようになり、グローバルリズムが教育の中に根付いてきたと感じていました。まさに大学を作りたければ、「誰でもどんどん始めなさい」そのために規制緩和して校地面積は縮小し、校舎の段階的整備もOK、運動場も要らなくしました。大学を設置する条件は広大なキャンパスは必要ありません、都心のビルを借りて開学できます。でも、それはすべての大学が自己責任で運営するということです。と文科省から投げられた厳しいものでした。

 もう見慣れたデータだと思いますが、18歳人口は1992年の205万人をピークとして、現在は40%減になっています。その間に設置基準の緩和によって、雨後の筍のように大学が設置され、92年に523校あった四年制大学が2008年には765校へと46%増加しました。生徒は4割減り、大学は2倍近く増えたマーケットの中で市場原理で闘えとルールを決められました。

 マーケッティングを無視した結果は明らかになり、今年度、大学の相次ぐ募集停止のニュースが飛び交いました。まさに大学バブル崩壊の始まりのような感が否めません。高校3年生は、生まれたときから不景気という子守唄を聞きながらグローバルリズムの波に乗り、受験する頃には“潰れない大学”(募集停止)選びに奔走しなければならない厳しい時代を迎えたといえます。

 バブル後に起きた経済界の流れは、企業が生き残るために合併を繰り返してきました。わかりやすいのは、三菱東京UFJ(東京・三菱・三和・東海)銀行や最近では、ビール会社のキリンとサントリーが合併した例が挙げられます。果たして、大学は合併して危機を乗り越えられる組織なのか、検証はこれから始まるのでしょう。仮に危機を乗り越えるために合併した大学があったとして、果たしてその大学が生き残ったことになるのでしょうか。

 大学は母校として、人の心のよりどころとなる存在です。これから、不景気のあおりを受け、入学金を自分達のバイト代でまかなうような学生が大学受験を迎えます。大学創りに携わる者として苦労しながらも、格差を乗り越えて学ぼうとする学生を裏切らず、しっかりと知に根を張れるような“潰れない大学”の創造を目指す気概を持ちたい。

(秋草 誠)



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FMICS10月例会  (第586回例会)

■募集停止を表明された大学、「神戸ファッション造形大学」「愛知新城大谷大学」「三重中京大学」「聖トマス大学」を見せて頂きました。
 愛知新城大学の事務局長さんは、「募集停止を発表したときかなり動揺しましたが、今は落ち着いて、教職員学生には頑張ろうという気持ちになっています。もう少し早くこういう気持ちにみんながなっていれば、この事態は避けられたかもしれません。残念です」と言われました。
 聖トマス大学の事務局長さんは「2008年5月に教職員全学集会をして、何で日本人が来なくなったかを考えましたが、教員は少人数で良い教育をやっているんだし・・・と言い、残念ながら次ぎに向かう手だては見つかりませんでした」と言われました。

■募集停止に至った原因はそれぞれあるはすです。勿論、何もせずに皆さまが手をこまねいていたとは考えられません。皆さんは懸命に努力をされていますが、結果的には、事務局長さんが言われたようなことになっています。

■不幸な結果を余儀なくされた大学は、総じて、教職員の皆さんの「学び」に対するベクトルが、なかなか一つには束ねられてはいなかったように見えます。事態の悪化にともない、責任回避という逃げが、このベクトルをいよいよまとまりにくいものにしていきます。

■大学のゾンビ化に立ち向かうためには、一人ひとりの教職員がこれまで以上に頑張らなければならないことは当たり前ですが、一人だけの「点」をいくら作っても倒産回避のためのパワーにはなりません。いよいよ、学生さんと教員と職員とがしっかりと「学び」へのベクトルを束ねて、大学を元気元気元気にしていく「大学学生教員職員三輪車論」の出番となります。しっかりと教員と職員が担うべき役割を明確にして、その役割を忠実にカタチにして大学の資産であり宝物である学生さんをサポートしていかなければなりません。

■「学生の“が”」とは何か。決して難しいことではないはずです。古くから「三人寄れば文殊の知恵」と言われています。学生さんと教職員が知恵を出し合うことをすることです。10月例会では、改めて母校沈没回避のために大学職員は何をすべきか、「大学学生教員職員三輪車論」と「大学職員プロデューサー論」を考えます。

【日時】 2009年10月17日(土) 午後4時30分〜6時30分
【会場】 東京文化短期大学 本部校舎
(東京メトロ丸ノ内線 東高円寺駅 徒歩6分)
【テーマ】 母校沈没回避 大学職員は何をなすべきか
「学生の“が”」をプロデュースする
【発表者】 桜美林大学大学院アドミニストレーション研究科 高橋 真義
【参加費】 会員1000円  非会員1500円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS Staff Development 216

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■第二部として高等教育問題研究会FMICS30周年に向けてFMICS人にFMICSの「温故知新」を20分間程度で語って頂きます。更なる続きは、懇親会の席上で大いに語って頂きます。プロデュースは米田さんが担当します。ご期待ください。

【日時】 2009年10月23日(金) 午後6時〜7時30分+懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS あざみ野 SD 6

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。●前回の9月4日(金)は、8名の参加者数でした。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料(コピー)は10部お持ちください。

【日時】 2009年10月9日(金) 午後6時30分〜8時50分+懇親会
*その次は、11月27日(金)に開催予定です。
【会場】 横浜市山内地区センター 1階 会議室1
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/category/212623.html
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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会報 『BIG EGG』 11月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2009年10月27日(火) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2009(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。