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2009年9月のFMICS



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大学進学率と学力問題

 8月上旬に平成21年度学校基本調査速報が公表された。詳しく見てみよう。平成21年3月の高等学校卒業者数は106万3千人(前年より2万5千人減少)となっているが、大学(学部)・短期大学(本科)への入学志願者の比率(入学志願率)は61.2%(前年度比+1.1ポイント増)である。

 大学・短期大学進学者(過年度高卒者を含む)は56.2%(前年度比+0.9ポイント増)で7年連続して増加し過去最高となった。大学進学者(過年度高卒者を含む)だけでも50.2%(前年度比+1.1ポイント増)で6年連続して増加し過去最高となった。

 また、専修学校等への進学者数を合計すると77.6%(前年度比+1.1ポイント増)となっている。

 なお、大学(学部)・短期大学(本科)の入学者数は68万2千人(前年度より2千人減少)となっているが、このうち女子は32万8千人(前年度より1千人増加)であり、大学(学部)の入学者数は26万2千人(前年度より4千人増加)となっている。

 したがって、今年度も大学進学率を押し上げているのは女子であることが分かったが、その動向は、全体像だけ見ていると見落としても気がつかない。

 次に、平成21年3月の高等学校卒業者のうち都道府県別の大学等(大学学部、短期大学本科、通信教育部、別科、高等学校等専攻科)の進学率は、30%台−1(前年より1減)、40%台−18(前年同)、50%台−23(前年同)、60%台−5(前年より1増) となっており、最大で28.7%(前年度比+0.3ポイント増)の開きがある。さらに専修学校(専門課程)進学率を加えると、50%台−5、60%台−26、70%台−16 となっており、その差は20.7%に縮まる。因みに、高等学校卒業者の進学率だけで、この専修学校(専門課程)進学率を加えた率を上回っている都道府県は10(前年より1減)ある。

 これだけ、都道府県により大学等への進学率に格差が広がっているのに、格差解消への根本的な具体策は未だ示されていない。

 さて、8月下旬に平成21年度全国学力・学習状況調査の結果が公表された。国の責任により義務教育の結果の検証を行う観点から、全国的な子ども達の学力状況を把握するため平成19年度から実施されているが、高等学校は義務教育ではないので実施されない。

 中学生のこの調査結果について、都道府県別について平均正答数を比べてみると、国語Aで12.8、国語Bで13.8、数学Aで19.1、数学Bで19.8の差が生じていた。前回とほぼ同様の結果が出ている。

 しかしながら、大学進学率とこの調査結果については、必ずしも正の相関とはなっていないのである。特に、国語A、B、数学A、B全ての平均正答数が全国(公立)平均を大きく上回っている都道府県においても、大学進学率は必ずしも高くはないという実態があるからである。

 それは、大学進学率は学力問題だけでは語れないことを示唆している。

(鳥居 聖)



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散切り頭を叩いてみれば…

 「ソニーでもリストラされる時代なんだよ!せっかく苦労していい大学に入って、ソニーに就職してリストラにあうなんて、なんだか勉強するのがバカらしくなる。」本年8月に行われた埼玉私学研究大会の「保護者と教師の集い」のパネルディスカッションのとき、ある保護者が子どもからいわれ応えに窮した場面の報告だった。すでに、生徒達は社会制度が大きく変わっていることに気づいていると感じた。

 バブル崩壊後、グローバル化が進んだ日本を振り返ると、いつのまにか市場原理主義が通説に変わり、終身雇用が消えた挙句の果てに、昨年、学生の内定取消の蔓延という事態が生じた。現状は社会制度に変化が起きているが、中等教育は相変わらず偏差値から抜け出せず、大学も学生の見方を変えられず、まして就職は厳しい。

 市場原理主義は欧米流で、和を重んじてきた日本になじまないままイキナリ導入されたといっても過言ではない。教育的な面から見ると自己主張をして育ってきた外人と、思いやりを持って和を大切(みんな同じ)に生きてきた日本人に大きなギャップを残したまま、社会のルールを変更したようなものだ。だが、その環境の変化に対応できるのが日本人だという説があった。

 故加藤周一さんは、『雑種文化−日本の小さな希望』に「日本人は昔から好奇心旺盛で、外来のものを受けやすい体質で、東のはての島国である日本は東洋文化の吹き溜まり。その中で西洋のものを果敢に取り入れ、独自の文化を形成してきた。その雑種性に積極的な意味を見いだしていくことが大切だ」といっている。この考え方から学ぶなら、今こそグローバルな視点で果敢に取り入れ、独自の文化に当てはめた教育が必要になると考えてもよいのではないか。いままで偏差値を指標としテストで点数を取ることだけを考えていた教育から、自ら考えて行動し他者と対等に自己主張が出来るような教育が必要になるということだ。

 自ら考えて行動できる教育の必要性を今年、8月24日の日経新聞に慶應義塾の清家塾長が寄稿している。「大変化の時代には何よりも自分の頭で考える能力が必要となる。これまでのものの考え方、制度、行動様式の延長線上では問題は解決できない。新しい状況を自ら理解し、それにもとづいて問題を解決する。少なくとも知的労働に携わる人材には、そのような能力が不可欠となる」

 私たちはいまある環境に不平不満をいって慣例に引きこもるのではなく、新たな環境を取り入れて独自の文化を創ることができる稀有な存在であると信じたい。一歩前を進むFMICS人は、自信を持って新しい時代を築く人財教育を考えられる「場」に立っていることに気づくことだ。

 SD・FD、マネジメントだと騒ぐより、新しい教育職員の役割を提言できるくらいじゃないと面白くない。

(秋草 誠)



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FMICS9月例会  (第585回例会)

■9月の月例会のスピーカーは、文部科学省高等教育局国立大学法人支援課の菊地勇次さんです。ちょうど1年前の9月の月例会では、織田雄一さんとご一緒に「留学生30万人計画」についてのご報告をして頂きました。今年4月には、国立大学法人を支援する最前線に異動されました。今回は、国立大学法人についてのイロハについてお話をして頂きます。

■私立大学にとって、国立大学をベンチマークすることなして、大学改革に取り組むことは、リスクがありすぎるのではないでしょうか。そして、学生さんにとっての国立大学と私立大学との違いは何かなど、私立大学の存在意義を考えるためにも国立大学をベンチマークすることの意味は少なくないものと考えまする。

■菊地さんからメモをいただきました。

 日本の大学制度は、国公私立大学が併存しつつ、それぞれの個性・特色を発揮し、高等教育全体として質的にも量的にも大きな発展を遂げてきました。その中でも、これまで国立大学は、国家財政による運営によって、国の高等教育政策を実現するという側面を持ってきました。特に、@学術研究の推進と研究者養成の中核や附置研究所等の充実、A理工系人材養成への寄与、B地域活性化への貢献、C大学教育の機会均等の実現(全国的な配置の均衡)、という役割を主に担ってきました。

 これらの役割は国立大学法人化後も大きく変わるものではありませんが、来年度より各国立大学法人が第二期中期目標・中期計画期間を迎えるにあたり、各国立大学法人の規模、特性、状況等は千差万別であって、国民が各法人に期待する役割なども同じではないことから、各国立大学法人の目標の明確化・重点化により、各国立大学法人の個性化や機能別分化を進めることがより重要となってきております。

 例えば、研究者養成に主眼を置く大学があれば、企業で即戦力として通用する人材を育成することに主眼を置く大学もあると思います。また、研究を重視し国際競争力を高めることを目標にする大学もあれば、地域に貢献することによって社会の要請にこたえる大学もあるかと思います。

 実際には、これらをはじめとする複数の機能を併有し、各大学毎の比重の置き方に違いが現れることとなりますが、それぞれの大学毎に特色を出していくということが重要となります。

 このように、国立大学法人全体としての役割と共に、今後はより各国立大学法人の存在意義が求められることとなりますが、当日はこれらのことを説明、議論していく予定です。また、国立大学のみならず公私立大学も含め各大学の役割や存在意義を併せて考えていくことにより、より議論の幅が広がっていくかと思っております。

 また、これらの議論について、大学の主役である学生はどう感じるのでしょうか。当日は、学生が大学に何を望み、学生にとって望ましい大学の個性化や役割分担とは何か、という視点からも併せて考えていければと思っております。

【日時】 2009年9月26日(土) 午後4時30分〜6時30分
【会場】 東京文化短期大学 本部校舎
(東京メトロ丸ノ内線 東高円寺駅 徒歩6分)
【テーマ】 国立大学の“こ”を考える
検証 新しい国立大学の役割と存在意義
【発表者】 文部科学省高等教育局
国立大学法人支援課運営支援総括係主任
 菊地 勇次
【参加費】 会員1000円  非会員1500円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS Staff Development 215

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■第二部として高等教育問題研究会FMICS30周年に向けてFMICS人にFMICSの「温故知新」を20分間程度で語って頂きます。更なる続きは、懇親会の席上で大いに語って頂きます。プロデュースは米田さんが担当します。ご期待ください。

【日時】 2009年9月17日(木) 午後6時〜7時30分+懇親会
【会場】 桜美林大学 四ツ谷キャンパス 3階301教室
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩3分)
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 (日本私学経営活性化協会) mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS あざみ野 SD 6

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いです。●前回の9月4日(金)は、8名の参加者数でした。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、気になった新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア、就活エントリーシートの原稿などなど、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料(コピー)は10部お持ちください。

【日時】 2009年10月9日(金) 午後6時30分〜8時50分+懇親会
【会場】 横浜市山内地区センター 1階 会議室1
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 100円(会員・非会員問わず)
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
http://n-idemitsu.269g.net/category/212623.html
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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会報 『BIG EGG』 10月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2009年9月30日(水) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2009(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。



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速報 10月のFMICS

【日時】 2009年10月17日(土) 午後4時〜6時30分
【会場】 東京文化短期大学 本部校舎
(東京メトロ丸ノ内線 東高円寺駅 徒歩6分)
【テーマ】 母校沈没回避 大学職員は何をなすべきか
「学生の“が”」をプロデュースする


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速報 第3回 大学職員サミット
とうきょう・しばうらカレッジ2009

 第3回「大学職員サミット」の会場は、芝浦工業大学です。今年も国公私立大学の垣根を越えた大学関係者、学生さんにご参加頂き2日間のプログラムを楽しみます。オープニングトレーニングの「自己表現・評価トレーニング」から始まり、シンポジウム、パネルディスカッション、懇親会での手作り名刺コンテストは期待度満点です。

 2日目の目玉は、何と言っても「大学自慢」です。学生さんと職員・教員が、我が母校の自慢をいたします。皆さんが集合天才となって「協創」するワクワクドキドキをお楽しみ下さい。

 皆さまには、何卒お力添えをお願いいたします。
【日時】 2009年11月7日(土)午後1時〜8日(日)午後2時
【会場】 芝浦工業大学 豊洲キャンパス
(東京メトロ有楽町線 豊洲駅 徒歩7分)