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2009年4月のFMICS



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大学職員はホワイト・カラーなのか?

 昔から、大学職員は給料も安いが、朝9時から夕方5時までの勤務で、仕事も簡単で転勤もない楽な職業と思われてきました。

 確かに、自分が就職した頃(30年ほど前)は、特定の時期、特定の職務を除けば、遅くまで残業をしてまで仕事をしていたという記憶はないのです。

 私の最初の配属先は会計係だったので、当時は、算盤が必須要件でした。しかし、当時の係長が、此奴は使い物にならぬと係内で初めて電卓を購入し、使用させて頂きました。その金額は1万円を超えており、もちろん備品登録されました。

 しかし、時代の流れは急速であり、いまでは電卓どころか、机の上にPCは必須のアイテムとなっています。文書の作成から簡単な諸統計まで、各自で楽々と出来る環境となっているので、それを使いこなせないと困ることが大いにある時代となっています。

 ワープロ専用機が出始めのころは、手書きの文章とワープロ打ちされた文章が混在していましたが、あっという間にワープロ打ち文章が主流を占めていったのです。

 ところが、大学職員の数が大きく増員されたという事実はまったく聞いたことがないのです。それどころか機械の高度化と情報化社会のお陰で、仕事の出来高量は何倍にも膨れあがっています。手で書くよりもキーボードを打った方が仕上がりも早いし、校正も何度でも出来るという文明の利器のお陰ではありますが、出来高内容の充実を絶えず求められている状況となっています。

 はたして、このような状況下で、学生へのサービスが十二分に行われているのでしょうか。私は、はなはだ疑問を持ち続けています。しかるに、今日のような状況下で旧態依然として、昔ながらの朝9時から夕方5時までの勤務で、一向にそれがおかしい事だと気が付かない輩も存在し続けているのです。

 大学職員は、教員の教育研究の支援と、学生の学習を支援することは当然のことであり、優先順位は学生支援、教員支援の順になることは自明でありますが、この順位を勘違いしている大学職員も少なからず存在しています。誠に、残念なことであります。

 大学職員の仕事を劇場公演に例えるなら、公演興業の運営マネジメントのすべてであり、具体的には受付・チケット係・売り子・誘導員・大道具・小道具・音響・照明や舞台監督・演出家などの仕事まで含まれています。誰でもすぐに出来る事から、専門的な能力を駆使しなければならない事まで、幅広い職務内容となっているのです。このような業務の高度化・複雑化に伴い、専門的な教育・訓練を受けた職員が相当数必要な時代となっています。したがって、ますます職員の職能開発は需要度を増しており、これに取り組めない大学や職員の地位の存続は危うい存在となっていると言っても過言ではないでしょう。

 これが、大学職員はホワイト・カラーではないと確信している理由なのです。

(鳥居 聖)



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大きな木の教え

 あるところに一本のりんごの木がありました。木は、いつもやってくる元気な子供が大好きで、楽しい遊び場や、涼しい木陰や、おいしいりんごの実を与えていました。少年を喜ばせることが木の幸せでした。ある日、大人になった少年はりんごの木に「お金が欲しい」とお願いをしました。すると木は、お金はないけどりんごをもぎ採ってお金に換えたらいいと提案します。「家がほしい」といえば枝を与え、材木にしたらいいと提案し、「舟で遠くに行きたい」といえば、自分を切り倒し、幹で舟を作ってはどうかと提案します。りんごの木はとうとう、切り株だけになりました。長い歳月がたち、すっかり歳を取った男(少年)が切り株のところにやってきて「もう何も要らない。座って休む静かな場所さえあればいい」といいました。

 木は喜んで、男を切り株に腰かけさせました。

 「おおきな木」シェル・シルヴァスタインさんの絵本からです。いま読んでもこの本から、深〜い「無償の愛」を感じます。

 絵本には、りんごの木が少年に何かを与えるたびに「きは それでうれしかった」という決まり文句が書かれています。終盤に一箇所「きは それでうれしかった・・・」この後に「だけど それは ほんとかな」という一言があります。私たち大人が忘れかけていた大切な「何か」を気づかせてくれる絵本です。

 親の立場からこの本を読むと、りんごを取るために木によじ登り自分でお金に換えさせ、すべての枝を切り落とし自分で家を建てさせ、木を切り倒し舟を造らせたことがとても魅力的です。最後に切り株に座って、「静かに休む場所がありさえすればいい」と気づかされます。これぞまさに人生の究極の「教え」だと感じました。

 最近の多くの親は、りんごを取ってお金に換えて子どもに渡し、家も舟も完成されたものを与えるのが愛だと勘違いし、大切な「教え」を忘却したようです。

 文部科学省は初等中等教育の現場を危惧して、「生きる力」と称したと思いますが、いまだ具体論が示されていません。「生きる力」とは自ら動き、発見して、気づかなければ養うことはできないと思います。そのために必要な教師の姿勢は、子ども達を見守る勇気を持つことです。

 東京学芸大学の名誉教授の松原元一先生は「教師は子どもからすべてを学ばなければならない。そのことに気づかない人がほとんどだ。教師は子どもを教えようとし過ぎている。そこが問題である」と指摘しています。

 大学が初年次教育やリメディアル教育を実施することはとても重要だと思います。「だけど それは ほんとかな」学生が自ら気づいて動き出さなければ、大学教育の意味がないのではないでしょうか。与えられるより、自ら創造できる力を涵養する空気をキャンパスに充満させたいものです。

(秋草 誠)



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FMICS4月例会  (第579回例会)

 昨2008年には、“下流大学”をタイトルに含みながら極めて対照的な2つの本が出版されました。

  

『下流大学が日本を滅ぼす!  ひよわな“お客様世代”の増殖』
三浦 展 著 ベスト新書 2008/8/9

 夏に出たこの本は、日本の大学は、みずからの保身のために、お客様意識の固まりで基礎知識のないバカ学生を大量生産し、社会の活力を阻害していると批判し、教育制度の大胆な改革提案も述べていますが、著者自身も認めるとおり、推測や伝聞に基づく記述が多い著作です。

  

『下流大学に入ろう! 一流大学より未来が開ける』
山内 太地 著 光文社ペーパーバックス 2008/12/1

 一方、年末に出たこちらは極めて対照的な著作です。著者の山内太地氏は、学生時代より大学巡りを始め、海外を含む740以上の大学を訪れています。おそらく日本一、いや世界一の記録保持者ではないかと思いますが、本書は、このように足で稼いだ記録に裏打ちされた、他に類を見ないルポルタージュとなっています。本書は、彼の踏破した大学の中から、どちらかと言えば有名ではないものの、地道に頑張っている個性的な大学に焦点を当てて、その取り組みと大学教育における意義を紹介しているものです。

 彼自身の言葉を引用してみます。

「以上、これまで私が見学した大学のほんの数校をあげてみたが、実際に大学を見学する事の面白さの一端を感じてもらえただろうか。ここで、私が強調したいのは、「最近の学生は……」という意見がほとんど現実を見ていない机上の空論であるということだ。日本の学生はバカばかりという意見は、少なくとも740以上の大学を見てきた私には、ほとんど意味のない妄言としか思えない。それを否定してもかまわないが、何でも否定して悦に入るのではなく、ちょっとは物事を肯定して見てほしいと思うのである。(p82)」

 4月のFMICS月例会では、この2冊を材料に、マス化、ユニバーサル化する大学の現状と将来などにについて、参加者同士で心ゆくまで議論を深めたいと思います。お仲間をお誘いの上、勿論2冊を読み比べてご参加ください。ひょっとすると著者の参加もあるかもしれません。乞うご期待。

【日時】 2009年4月18日(土) 午後5時〜7時
【会場】 清泉女子大学 2号館 2階 221教室
<交通アクセス>  <キャンパスマップ>
【テーマ】 ユニバーサル化する大学の現状と将来を考える
「下流大学」論を斬る!
【コーディネータ】 横浜市立大学 アドミッションズセンター学務准教授 出光 直樹
【参加費】 会員1000円  非会員1500円  学生(会員・非会員問わず)500円
【申込先】 高橋 真義 (桜美林大学) mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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YFN4月例会(第578回例会)

 南山大学の会計とエクステンションセンターの守護神のごときご活躍の名古屋FMICSの同志、新里さんが今春退職されました。敬虔なクリスチャンで、大変勉強家で名古屋学院大経営研究科の修士課程、博士課程で学ばれ、恩師と共に本も2冊会計関係と生涯学習関連で上梓されておられます。沖縄のご出身で明るくほのぼのとした人柄で、多くのFMICS人が癒され励まされてきました。大学人人生を振り返りつつ、後に託す大学人への願いをメッセージとしていただき、今後の人生についても語っていただきます。

【日時】 2009年4月16日(木) 午後7時集合
【会場】 岐阜県本巣市根尾板所 淡墨公園
樹齢1500年継体天皇お手植えの櫻の下で
【テーマ】 南山大学新里さんの退職記念講演
「大学へ告ぐ」
【発表者】 前 南山大学 エクステンション・カレッジ事務室 新里 敏夫

【申し込み・お問い合わせ】
   林 憲和 (岐阜聖徳学園大学学長室 058-279-6710)
   nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp



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FMICS Staff Development 210

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■今月から、第二部として高等教育問題研究会FMICS30周年に向けてFMICS人にFMICSの「温故知新」を20分間程度で語って頂きます。お話の続きは、懇親会でということに致します。プロデュースは米田さんが担当します。ご期待ください。

【日時】 2009年5月1日(金) 午後6時30分〜8時30分
【会場】 工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室
【温故知新
 スピーカー】
前 工学院大学教授 岡村 浩
【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円
【申込先】 米田 敬子 (桜美林大学) mail2009(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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FMICS あざみ野 SD 1

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地域での集いが復活します! 2005〜2007年度に“淵野辺”(桜美林大学PFC)で開催していたものを引き継ぎ、主会場を“あざみ野”に移して再開いたします。●この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア・企画等々、何でも構いません。ちょっとした事でも、他人の目に触れることにより思いがけない発見があるものです。初めて参加される方は、単に自己紹介だけでもOKです。●資料は8部程度コピーしてお持ちください。

【日時】 2009年4月28日(火) 午後7時〜8時50分+懇親会
*次回は5月29日(金)の予定です。
【会場】 横浜市山内地区センター 3階3A会議室
(東急田園都市線・横浜市営地下鉄 あざみ野駅 徒歩3分)
【参加費】 会員・非会員問わず 100円
【申込先】 出光 直樹 (横浜市立大学) naoki(アットマーク)idemitsu.info
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、参加者数を把握するため、なるべく事前の連絡をお願いします。


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会報 『BIG EGG』 5月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

●通常は水曜日ですが、今回は金曜日となります。お間違えのないようにご注意下さい。

【日時】 2009年5月8日(金) 午後6時〜9時+食事会
【会場】 日能研 恵比寿ビル

●初めて参加される方は、 mail2009(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。



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速報 5月のFMICS

●経済危機以上に我が国にとって、「人口問題」、高齢化と少子化は大きな足かせになってきます。戦争がないのに人口が減る成熟国家の滅亡を歴史は見てきています。●社会構造が激変する時代に、日本の大学はどのように活き残るべきか、その処方箋について人口問題の専門家に語って頂きます。

【日時】 2009年5月30日(土) 午後4時30分〜7時
【会場】 東京文化短期大学 本部校舎
(東京メトロ丸ノ内線 東高円寺駅 徒歩6分)
【テーマ】 地方の再生・再発見こそが日本を救う
大学の活き残りと人口問題を考える
【発表者】 産経新聞社論説委員 河合 雅司