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2008年11月のFMICS




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総利益は903億円なのだが

 文部科学省は先日、国立大学法人(以下「法人」という。)の平成19(2007)年度決算を公表した。

 90法人の経常費用は計2兆5,497億円、経常収益は計2兆6,330億円で、積立金の取り崩しなどを加味した総利益は、903億9,748万円となった。利益が最も多かったのは北海道大学で、54億9,021万円だった。

 昨年度(平成18年度)との比較では、総利益は16.9%増となった。

 収益の増の主な内容は、外部資金の増(競争的研究費の間接経費の増等で約333億円)、附属病院の収益(人件費を除く)の増(約214億円)、競争的資金の増加による補助金収益の増(約147億円)などだった。収益の減の主な内容は、運営費交付金収益の減(約147億円)、減価償却費の増(約118億円)、研究費の増(約116億円)などだった。

 附属病院を有する比較的規模の大きな、11法人が20億円以上の利益を計上している。

 東京大学のHPの財務情報よると、損益計算書中の経常費用1,914億円の内訳は人件費が839億円、物件費が904億円、減価償却費は119億円となっている。一方で、経常収益1,952億円の内訳は運営費交付金収益が829 億円で20億円の収入減となっているが、附属病院収入は353億円で35億円の収入増、受託研究等収益は360億円で52億円の収入増などとなっている。

 利益は38億9千万円になったが、附属病院収益や受託研究等収益の増収がなければ利益は出なかったとも言えるのである。

 さて、1法人が「赤字」だった。また、附属病院を有する42法人のうち6大学附属病院が業務欠損(経常赤字)であり、さらに長期借入金の借入金返済額を考慮すると約4割の16大学附属病院が実質赤字状態となっている。

 4年間で附属病院運営費交付金が217億円減額され、この赤字状態を改善するための努力が過重となり、教育研究業務や臨床研究への影響が懸念されている。

 さらに、法人化前は財政投融資、法人化後は財政投融資+市場からの資金で、附属病院の再開発・高度先進医療のための施設整備改修などが行われ、結果として長期借入金の合計は1兆451億円にもなっている。

 大学附属病院は日本の高度医療の一翼を担っており、経営が立ちゆかなくなれば困るのは国民なのであるから、積極的な財政支援が望まれている。

(鳥居 聖)



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ノアか狸か

 どこかに大学救済のヒントになる「ノアの箱舟」的なものはないかという淡い夢を抱きながら本屋を覗くと、「本当に強い大学2008年ニッポンの大学ベスト100」のタイトルに魅かれて、「週間東洋経済(10月18日号)」を購入してしまいました。このランキングは「財務力」「教育力」「就職力」の3項目、11の指標を算出したと書かれていました。ベスト10の大学を見ると不思議な数字が浮き上がって見えてきました。それは「教育力」の指標のひとつのGP等採択件数です。私はベスト10入りする大学のGPの採択件数は5件以上あるのではないかと勝手な予測をしていました。しかし、3位の京都大学の1件、6位の豊田工業大学0件、10位の武蔵野大学1件と私の予測に反した結果となっていました。

 この採択数に違和感を感じながら、2年前の11月に文部科学省主催で横浜パシフィコにて開催された「平成18年度大学改革プログラム合同フォーラム」のことを思い出しました。プログラムのひとつ「高等学校関係者対象の分科会」の講演者3名の主旨は、高等学校関係者を対象に様々な視点から講演を通して、GPを中心に大学教育改革の全体像と現状を紹介し、高校生への進路上の活用等を考察するとなっていました。最後に質疑応答になり、誰からも質問がなかったので「高校の現場の教員はGPなど知らない、まして高校訪問に来る大学の広報の方に現代・特色GPの説明を聞いてもなかなか的を射た回答になっていない。」とポロリと本音が出てしまいました。

 このときの思いは今でも少しも変わっていません。各大学が懸命になってGPの獲得に必死になっている様子を高校側から鳥瞰すると、大学はまるでGPに採択されることが生き残れる「ノアの箱舟」だと信じているように映り、乗り遅れることを恐れているようにも見えます。

 確かにGPは、教育の質向上に向けた大学教育改革の取組を選定し、財政的なサポートや幅広い情報提供を行い、各大学などの教育改革の取組を促進する素晴らしいシステムだと思います。しかし、ある大学では学長の号令の下、GP申請のために教職員の多くを巻き込み奔走し疲弊しているという話を聞きます。また、採択を目的として申請したため、3年後の期限切れを迎えた時に水道の蛇口を止められるように苦しむことが予想されるような取り組みも見受けられます。

 冒頭の3つの大学は、負の事情を十分理解した上でGPの申請を意図的に抑えているのではないかと勘繰りたくなるような数字だということです。FMICS人としては、くれぐれも冷静な判断を忘れ、「カチカチ山の泥舟」にあわてて乗り込むようなマネだけは避けたいものです。

 神様は天地と人間を創ったが、人間が喧嘩ばかりして悪い人達で一杯になったことに怒り、大雨を降らせて全てを滅ぼすことにしました。地上のすべての生き物は死に、助かったのは「ノアの箱舟」に乗っていたものだけでした。

 大局的なリーダー論は藤原氏の指摘どおりだと思うが、なぜかフジテレビ「CHANGE」のキムタク総理の一場面を思い出した。 「ボクは、子どもたちにこう教えてきました。意見が違ったら、とことん話し合い、共に考える、そうすれば・・・」「分かり合える」「違います。そうではなく、相手と自分とは違う、という事に気づきます」「意見が合わないから切り捨てる」「そうではなく、考え方も事情も違うので、それを理解し、相手にわかってもらうにはどうしたらいいのかお互いに必死になって考える、共に生きていくのだから。“人は、みな違う。人は、成長する”」という一人ひとりの個性を大切にし、相手を理解して、ともに成長しようという名言でした。

 今、組織のリーダー待望論を語るより、互いを理解して認め合い「自ら学び・考え・発信する」というまさにFMICSの原理原則が必要な時だと改めて感じました。 「まずははじめよう」頭で理解したつもりにならずに、汗をかく。“学生は、みな違う。学生とともに成長する。”

(秋草 誠)



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第2回 大学職員サミット やまぐちカレッジ2008
〜未完(蜜柑)の大器にメッセージ〜
(第570回例会)

●昨年の「大学職員サミットやまがたカレッジ2007」に参加した山形大学の学生さん、箱崎健太郎くんのFMICS BIG EGG NO.552に寄せた感想を改めて読み返してみました。

「今回のサミットに参加して、もう少し遅く生まれてくれば良かったと思った。今回のサミットに参加した職員が大学を変える流れを作り、大きな流れとなれば、大学は非常に活気のある場所になるだろう。それぞれの大学で、変わった後の大学という未来に希望を持てた。私も大学を変えていけるように学生側から出来ることをこれから行うつもりである。まずはこのような動きがあることを学生に広めていきたい」

 職員が中心となって、大学自慢をしあう。こんなにも自校を大切に想う職員の一所懸命な姿に触れ、学生さんたちの心が確実に動きはじめたのです。学生さんたちのナイーブな感性は、「未完」だからこそ気づいた時のエネルギーはとてつもないものだと、改めて箱崎君は教えてくれました。

 これほど私たち職員にとって勇気をいただいた言葉はありません。

★★★

●激動の時代,競争に勝ち,個性輝く大学を創るために,大学職員は何をしなければならないのでしょうか。変化に対応する事務処理能力は細分化・先鋭化に向かうものと思われますが,大学を取り巻く環境は変化に加えて拡散し始めています。事務処理能力が第一義的に求められてきた時代は終わり,新しい時代を担う大学職員は,大学の資産であり資源である教員及び学生と共創し,個性輝く元気な大学を創る役割を担わなければなりません。そして,教育・研究を支援し学生を支援す ることにあっては,教員とは異なる視座,大局的視野に立ってプロデュースする力量が求められる ことになります。

●「大学職員サミットやまぐちカレッジ2008〜未完(蜜柑)の大器にメッセージ〜」は,国公私立大学の枠を超えた,参加型のシンポジウムです。個性輝く元気な大学を創るために,大学職員は何をしなければならないのでしょうか。学生の学びを支えその力を引き出すために,大学職員はいかに使命感を持ち,各々が持つ力を存分に発揮してその役割を担っていけばよいのでしょうか。大学にとって職員の役割が重要とされる中,それを担う大学職員の可能性とはどのようなものだと思われますか。

 これからの大学は,「学生・教員・職員の三者が一体となって,共に力を合わせ,共に育み合い,共に喜びを分かち合う」ことが重要であり,大学職員の可能性について語り合うとき,大学職員だけでなく,教員・学生と共に語り合うことがとても大切なことです。

 国公私立大学の枠を超えて,それぞれの立場からそれぞれの視点で語り合い,大学職員の可能性を見いだすことで,大学職員はより輝き,教育・研究を支え,学生の元気を引き出す原動力になると思われます。

 このサミットが,参加者にとって大きなネットワークの場となり,これからの個性ある大学創り,大学職員の可能性を探求する意識啓発の発露の場になればと思います。

 そして,「大学職員サミット」終了時には,未完(蜜柑)の大器の学生に向けて,メッセージを発信できればと思っています。

●ワクワクドキドキの2日間、お仲間と皆さまのお近くの未完の大器もたくさんお誘い合わせの上ご参加ください。「大学自慢コンテスト」へのエントリーもお待ちしています。

【日時】 2008年11月8日(土)〜9日(日)

【会場】  山口大学・吉田キャンパス 経済学部第2講義室、第1学生食堂「ボーノ」、熊野荘

【主催】 第2回大学職員サミットやまぐちカレッジ2008実行委員会(委員長 丸本卓哉・山口大学長)
【共催】 国立大学協会中国・四国地区支部
【後援】 読売新聞東京本社
【企画・協力】 山口大学、大学コンソーシアムやまぐち、
         桜美林大学大学院アドミニストレーション研究科高橋真義ゼミ、
         高等教育問題研究会・FMICS、大学新聞社

【プログラム】
大学職員サミット やまぐちカレッジ 2008 ポスター
ポスター(PDF)

11月8日(土)

シンポジウム
−大学職員の可能性を語り合おう−

懇親会・手作り名刺コンテスト

  • 受付12:30 13:00〜21:00

  • 参加募集人員 大学職員を中心に100名

  • 参加費2000円
    懇親会費3000円(学生2000円)

【オプションプログラム】
オールナイトディスカッション

11月9日(日)

大学自慢コンテスト

サンドイッチパーティー・表彰式

キャンパスツアー

  • 受付9:30 10:00〜15:30

  • 参加募集人員 100名

  • 参加費500円(高校生以下は無料)

●参加申込等詳細は、山口大学の公式サイトをご覧下さい。



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YFN11月例会 (第571回例会)

 YFN・FMICS名古屋の恒例の秋の文化祭第2弾は、原三溪ゆかりの地岐阜を訪ね、講演と見学FMICSが生んだ聖徳茶会、そして横浜三渓園を訪ねる原三渓顕彰講座が誕生し、今回いよいよ三渓園のある地元横浜に原三渓研究会が生まれ、そのご一行が三渓さんの生まれた岐阜を訪ねる講座が実現することになりました。岐阜から横浜へ、そして横浜から岐阜へ。まさにFMICSのフュージョンであります。地元FMICS名古屋人が参画し実施参加、原三渓が作らせた料亭「水琴亭」を見学し会食、そして郷土史家の講演と高橋杏村の顕彰碑を見学いたします。

●原(はら) 三溪(さんけい)について
 原 富太郎(はら とみたろう 1868〜1939)は、横浜の実業家、茶人。号は三溪。美濃国厚見郡佐波村(現・岐阜県岐阜市)の代々庄屋をつとめた青木家に生まれ、幼い頃より漢学や詩文を学ぶ。東京専門学校(現・早稲田大学)で学び、跡見女学校の助教師となって、横浜の豪商・原善三郎の孫・屋寿(やす)と出会い、結婚、原家に入る。生糸貿易のかたわら、富岡製糸場を中心とした製糸工場を各地に経営。ほか、帝国蚕糸の社長や横浜興信銀行(現・横浜銀行)の頭取などを務めた。1923年の関東大震災後は、横浜復興会の会長となり、横浜復興支援のために私財を投じた。一方、美術品の蒐集家で、作家たちのパトロンとしても知られ、横山大観、下村観山や小林古径など多くの画家を援助。横浜本牧の自邸に関西や鎌倉などから古建築を移築し、1906年から「三溪園」として市民に無料開放した。三溪園は戦後、原家より横浜市に譲られ、現在は財団法人三溪園保勝会により保存・公開されている。

【日程】  2008年11月20日(木) 11時30分〜14時30分

【会場】   岐阜市米屋町「水琴亭」

【テーマ】 FMICS名古屋 秋の文化祭
       〜 原 三溪のいぶきを回顧・堪能する 〜

【申込&問い合わせ先】 高等教育問題研究会名古屋支部事務局
      林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 総合企画課 058-279-6710)
      nhayashi(アットマーク)ha.shotoku.ac.jp



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FMICS Staff Development 205

■FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。■あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。■なお初めての方は、自己紹介のみで構いません。

【日時】 2008年11月14日(金) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 教員応接室

【参加費】 会員500円  非会員1000円  学生(会員・非会員問わず)300円

【申込先】 米田 敬子(桜美林大学) mail2008(アットマーク)fmics.org



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会報 『BIG EGG』 12月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】 2008年12月3日(水) 午後6時〜9時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail2008(アットマーク)fmics.org (高橋真義)までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。


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速報 12月のFMICS

●個性輝く大学をいかにして世の中にアッピールするか。もはや、全国紙の全面広告に莫大なコストを掛けて(賭けて)も、その効果は大きくありません。一方、近年は、大学を特集すれば、週刊誌が売れるとも言われています。●大学広報関係者に「なぜ、あなたのところにたくさんあるパブリティテーのシーズをシーズのママで終わらせているのですか」と尋ねます。「マスコミはちょっと、苦手でねぇぇぇ」という答えが返ってきます。●12月例会は、シーズをシーズのママに終わらせないために、パブリシティーの活用の仕方についての原理原則、マスコミ人の視座について検証いたします。●メインゲストにはこの10月18日に「本当に強い大学」を特集された『週刊東洋経済』記者の三上さんをお迎えし、若手ジャーナリストの皆さまにもにもご参加いただき、大学広報を多面的に切り込みます。●FMICSらしくてFMICSならではの企画にご期待ください。

【日時】 2008年12月20日(土) 午後4時〜午後6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス

【テーマ】 大学競争時代の大学広報の原理原則を学ぶ
       検証 パブリシティー戦略構築のヒント

【コメンテーター】 東洋経済新報社『週刊東洋経済』編集部 三上 直行