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2006年12月のFMICS




高校教育もグランドデザインが必要

 世間を騒がした未履修問題も文部科学大臣の命により短期間に収集に向かった。

 言うまでもなく、この未履修問題は生徒個人の責めに帰すべきではないのであるが、この問題の本質を追求し根本的な打開策を取らない限り本当の意味での解決にはならない。

 ここで改めて、高校における必修教科・科目及び卒業に必要な単位の変遷を見てみたい。

入学年度必修教科・科目数必修
単位数
卒業要件
単位数
昭和23年5教科 6科目37単位85単位
昭和26年5教科 7科目37単位85単位
昭和31年6教科10科目45単位85単位
昭和38年7教科17科目63単位85単位
昭和48年6教科11科目43単位85単位
昭和57年6教科 7科目28単位80単位
平成 6年8教科11科目38単位80単位
平成15年10教科13科目31単位75単位

 次に高校卒業者数と大学・短大入学者数・進学率を見てみたい。

昭和35年度93万人で21万人10.3%
昭和40年度116万人で33万人17.0%
昭和45年度140万人で46万人23.6%
昭和50年度133万人で60万人37.8%
昭和55年度140万人で59万人37.4%
昭和60年度137万人で59万人37.6%
平成 2年度177万人で73万人36.3%
平成 7年度159万人で80万人45.7%
平成11年度136万人で76万人49.1%
平成16年度124万人で71万人49.9%

 さて、何故に高等学校卒業者の増加やそれに伴い大学・短大進学率が上昇したのであろうか。それは、昭和35年に池田内閣が国民総生産・国民所得ともに倍増させようという所得倍増計画を公表したことによる。この予測以上に、日本の経済成長は高率を保持し、経済大国への道を歩み始めることとなった。

 しかしながら、高度成長のもたらした歪みが、学園紛争激化などの形で次第に露呈したことは学校関係者は忘れられない事実である。

 資源の少ない日本が経済成長を遂げるためには人材育成しか手だてがないことは明治の初期から言われてきたことである。

 その時々で求められる教育内容が変遷することは致し方ない事ではあるが、理想と現実の乖離をどのように埋めていくのかが大きな鍵となっている。机の上の議論だけではその実態が見えてこないので、議論者は性善説のみで議論することを避け、緻密な想定作業を行うことが必要となる。そして、自分は出来るから他者もそうであるという錯覚には陥らないことが肝要である。

(鳥居 聖)



「価値観・考え方の大切さ」−最近思うこと−

 11月11日の文部大臣への自殺予告に前後して、「いじめ」、「命」、「こころ」といった言葉をよく耳にするようになった。自分自身が中高の現場で仕事をしてみて、小中高の段階で、教育する側も教育される側もかなり「知識」に偏重している現状に気がつく。一例をあげると、東京都の私立中高においては、受験日程が長期化し、2月1日から6日あたりまで試験日が用意されている。おまけに、神奈川県、埼玉県など試験日を早く設定しているところを本番前に受験しているため、実際には2週間以上に及ぶ。また、4教科入試が中学受験では一般化してしまったため、小学校4年生あたりから受験準備を始めているのである。

 そんなことを考えていたときに、偶然松下幸之助氏の本(「物の見方 考え方」:実業之日本社)を読む機会があった。「経営の神様」といわれるような人なので、いろいろと教訓めいたいささか難しい本かとすこし身構えて読んでみたが、とても考え方が自然ですっと頭に入ってきたのには驚いた。その中で、松下氏は次のようなことを述べている。

「人生というものはいかなる人といえども、みんなそれぞれの運命を持って生まれている。その運命というものは、こういう運命はいい、こういう運命は悪いというふうには考えられない。われわれの現実の利害関係をもって物を見る目からいうと、要するに車をひく人よりも乗る人のほうがいいように思う。われわれ俗人の私欲を持ってみると、車に乗る人は成功で、車に乗らない人はそれよりも成功が低いと見るわけだ。」(同著P123)

 松下氏の言葉を借りれば、いい学校に入り、ブランドのある大企業に就職する人が車に乗る人でそれ以外は車に乗らない人のようにも考えられる。現実には、かなり状況が変わり心の底では分かっていても、保護者や教育に関わる人達の考え方は変わらない。さらに、松下氏は言う。「人間はみんなそれぞれの使命に生きている。その使命に生きている人はみんな尊い。人間すべて平等だ。そこにこそほんとうの民主主義の理念が生まれる。民主主義というものはいかなる職業にあっても、お互いに尊敬し合って、友人としてつき合うことである。」(同著P124)

 そのとおりではないだろうか。今回社会問題となった一連の「自殺予告」事件は、まっとうな価値観や考え方を学ぶ機会の大切さをわれわれに教えているような気がした。

(成蹊中学高等学校:浅沼 雅行)



FMICS 12月例会 (第533回例会)

 いよいよ何があっても驚いてはいけない。そんな大競争時代を活き抜くために大学職員は何をすべきか。昨年の12月例会では、“競争的資金獲得競争”は、果たして身銭まで削って渾身の力を振り絞って獲得に向けて取りに行くべきものなのかについて考えました。

 一年が経ち、たくさんの改革プログラムが世の中に紹介されるようになりました。毎週どこかの大学がシンポやイベントをやってる中で、じっと目を凝らしてみると、競争的資金獲得が目的化されたことが見え見えのプログラムが少なくありません。学生さんのための新しいプログラムであると言いながら、学生さんの顔が見えていません。学生さんはお客さんではなく、学生さんは大学にとって極めて大切な資源であり資産であり、その資産活用は誰がするのかという整理が出来ていないのです。言葉を換えれば、プログラムがしっかりとプロデュースされていないのです。

 新しい大学職員が登場します。学生の可能性を伸ばすためのプロデューサーとしての役割分担する職員の登場は必然となります。「職員GP」はこのような新しい職員の誕生を助ける産婆さん役であって欲しいのです。

 大学の主人公である学生に見放された大学は、確実にその命は終わらざるを得ません。母校を沈没させないために、皆さまと一緒にこれからの大学職員は何をなすべきかを考えたいと思います。

【日時】 2006年12月9日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 4階0471教室

  • 地下1階から高層棟エレベーターで2階まで上がり、さらに階段で4階まで上がってください。中扉を通り抜けて、一番奥のゼミ室が会場です。

【テーマ】 「大学学生教員職員三輪車論」と「職員GP」
       母校沈没回避のために職員は何をなすべきか

【問題提起】 桜美林大学 大学教育研究所教授 高橋 真義

【参加費】 会員:1,000円 学生:500円 非会員:1,500円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail@fmics.org



YFN 12月例会 (第532回例会)

 YFN・めやっとかめやなもFMICS名古屋の12月例会&忘年会をご案内いたします。江戸時代、薩摩藩による木曽川・長良川・揖斐川の宝暦治水工事で知られる海津市を訪ね、その偉業を見聞、また会津藩の最後の藩主松平容保を生んだ高須藩ゆかりの寺や資料館を訪ねます。そして、養老山脈中腹にある南濃温泉「水晶の湯」にて、激動の2006年を振り返り、2007年に向けて新たに一所懸命であることを参加者全員に決意表明していただきます。

【日時】 2006年12月3日(日)午前10時〜午後5時
        集合場所:JR岐阜駅

【会場】  南濃温泉「水晶の湯」

【テーマ】 激動の時代を活きる私を語る
       MYアクションプラン2006&2007

【発表者】 参加者全員

【申込&問い合わせ先】 高等教育問題研究会名古屋支部事務局
      林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 総合企画課 058-279-6710)
      nhayashi@ha.shotoku.ac.jp



FMICS Staff Development 183

●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力をキリキリと束ねなければなりません。そんなことを具現化する場です

(1)メディアチェック
 あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

(2)テーマを定めた継続的な勉強会
 2005年12月より、池田憲彦さんの新刊 『近代日本の大学人に見る世界認識』 (自由社 \3,600)をテキストにしています。

【日時】 2006年12月7日(木) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室

【テーマ】 近代日本の大学人に見る世界認識 −13−

【参加費】 会員:500円 学生:300円 非会員:1000円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail@fmics.org



FMICS 淵野辺 Staff Development 21

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地区版。若手を中心に盛り上がっています。この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア・企画等々、何でも構いません。ちょっとしたものでも思いがけない発見があるものです。●資料は8部程度お持ちください。

★今月は、表参道駅徒歩5分の国連大学本部が会場となりますので、ご注意ください。

【日時】 2006年12月15日(金) 午後7時〜8時30分+懇親会
        *午後7時、国連大学本部1階玄関前に集合

【会場】 国連大学本部 表参道駅徒歩5分・渋谷駅徒歩8分

【申込先】 出光直樹(横浜市立大学) unu-sd@fmics.org



会報『BIG EGG』新年1月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、この瞬間に生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご参加をお待ちしております。

●今回は、いつもより早く作業を開始いたします。

【日時】 2006年12月28日(木) 午後2時〜6時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail@fmics.org までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。


速報 1月のFMICS

●FMICSの新年1月は恒例の合宿例会です。新宿・工学院大学でのオリエンテーションは、競争的環境下で頑張っている元気元気元気な女子大学をベンチマークします。そして、葉山では参加者全員に元気元気元気に「私の2007アクションプラン」を発表していただきます。

【日時】 2006年2月3日(土)〜4日(日)

■オリエンテーション 午後1時〜3時

 「元気元気元気な女子大学の明日を語る」

   お茶の水女子大学 荒井 聡子
   清泉女子大学 河野 香織
   東京家政大学 仲谷 ちはる
   日本女子大学 比留間 千秋

   司会 文教大学 米田 敬子

■合宿FMICS  午後6時〜翌午前9時

 参加者全員発表


【会場】  工学院大学新宿キャンパス  & 中央大学葉山寮(神奈川県葉山町)

【テーマ】(仮題)元気元気元気な私のアクションプラン
         私たちが 今 アクションすべきことは何か

【申込先】 坂田 範夫 kintoki(アットマーク)tamajs.chuo-u.ac.jp までなるべくお早めにお申し込み下さい。