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2006年10月のFMICS

  • 国立大法人総利益は716億円?(鳥居 聖)

  • まずは小さな世界で一番になる(金田 淳一)

  •   FMICS10月例会 10月21日(土) 工学院大学:新宿

  •    YFN10月例会 10月15日(日) ぱるるプラザ岐阜:岐阜

  •    FMICS・SD 10月26日(木) 工学院大学:新宿

  •  FMICS淵野辺SD 10月27日(金) 慶応義塾大学日吉:日吉

  • 会報 BIG EGG 発送 11月2日(木) 日能研ビル:恵比寿

  • 速報 11月のFMICS 11月18日(土) 工学院大学:新宿

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国立大法人総利益は716億円?

 文部科学省は先日、国立大学法人の平成17(2005)年度決算を公表した。

 91法人の経常収益は計2兆4,803億円、経常費用は計2兆4,118億円で、積立金の取り崩しなどを加味した総利益は、716億1,700万円となった。利益が最も多かったのは東京大で、57億2,814万円だった。

 国立大学法人化の初年度で、国からの債権引き継ぎなどがあったために収益がふくらんだ昨年度(平成16(2004)年度)との比較では、総利益は35.1%減となった。利益の主な内容は、特許料収入の増加(約118億円)、競争的研究補助金の増加(約68億円)、人件費の節減(約137億円)などだった。

 91法人のうち、各大学が共同利用できる研究機関「大学共同利用機関法人」の4法人を除いた87大学では、東京大、大阪大、北海道大など9校が20億円以上の利益を計上した。文科省は「上位はいずれも資産規模や事業規模が大きいうえ、附属病院を持っていることが収入増にプラスに働いたようだ」と報じている。

 東京大学のHPから財務情報を詳しく見てみた。損益計算書中の経常費用1,803億円の内訳は、業務費が1,575億円、減価償却費が152億円などとなっているが、受託研究経費等は273億円で58億円負担増となっている。一方で、経常収益1,861億円の内訳は運営費交付金が877億円で62億円の収入減となっているが、附属病院収益は315億円で28億円の収入増、受託研究等収益で291億円で75億円の収入増などとなっている。

 結局のところ、22億7千万円の利益予測のところが34億6千万円上方修正されて約58億円になった。しかしながら、受託研究等収益などの増収がなければ利益は出なかったとも言えるのである。

 しかし一方で、3校が「赤字」だった。同省は「いずれも、実施中の附属病院の整備事業で損失を出したと見られる」としている。

 このうち1つの大学のHPから財務情報を詳しく見てみた。損益計算書の説明では当期総損失については、病棟東館の完成に伴う現金の支払いを伴わない一時的な費用の発生によるものである、と記されている。キャッシュ・フロー計算書では、当期の資産が約19億円増加しているが、一方において長期借入れ収入が約39億円あるので実質は△である。しかし、貸借対照表では、昨年度に比べ負債の部は約24億円減少している。どう見ても会計処理がおかしいので関係者に聞いてみた。

 この年度に限りキャッシュ・フロー計算書と貸借対照表が連動していない。それは、一昨年度負債となっていた借入金のうち、国がこの大学の会計を通さずに返済処理したものがあるということであった。

 この様なことは、質問しない限り解明が出来ないことであり、貸借対照表の注記に書いて然るべき事項であると考えるが如何か。

(鳥居 聖)



まずは小さな世界で1番になる

 さる9月26日発足した安倍内閣の人事の特徴として官邸機能の強化・拡大がある。その一例として、首相補佐官の登用が挙げられる。補佐官は「国家安全保障」、「経済・財政」、「拉致」、「教育再生」、「広報」の安倍首相の最重要と考える5分野に亘る。補佐官と担当業務を所管する各省庁との軋轢も予想されるが、来年中に内閣法を改正し、補佐官が直接官僚に対し、指示・命令できるようにする方針であるともいう。

 首相は「教育」を最要課題と捉えているとおり、教育基本法改正、教育再生会議の設置、教育バウチャー(利用券)制度・学校選択制度の導入、大学の9月入学など、様々な課題について既に問題を提起している。学校選択制度の導入提唱には次期経済財政諮問会議の民間議員に内定の八代国際基督教大学教授の存在も推察される。八代教授は規制改革・民間開放推進会議の中心メンバーであり、「教育は消費者が普通に選ぶサービスである」が持論である。『市場重視の教育改革』の著書も著されている。

 振返って大学を眺めた場合、官邸主導からどのようなことが見出すことができるのだろうか。近年、数々の大学で「総長室」、「学長室」のようなトップの戦略的施策を立案・実行する部局の設置が行われている。大学の生存そのものをかけて競っている今日、このような方向は当然であろう。そうであれば大学でもトップがビジョン・ミッションから導き出される具体的課題について例えば総長補佐、学長補佐のような補佐官的存在を置いたらどうだろうか。この補佐制度は教員、職員でも適任者が専属(フルタイム)として就任し、縦横無尽に活躍できる体制を目指すべきだろう。補佐には今日の高等教育の置かれている情勢を十分理解し、課題解決に向けた構想力、大学の内と外を結ぶコーディネート力、学内他部局と緊密な連携を図れるコミュニケーション力などが求められると思う。補佐が力を発揮できるようにそのもとにスタッフ配置も必要である。

 最後にこのようにして各大学が目指すべき目標は何か。どの大学もミニ東大・京大、ミニ早大・慶大を志向しても意味がない。中教審答申「我が国の高等教育の将来像」で示された七つの大学の機能別類型を参考としつつ、自大学の強みと弱みを見つめ直す過程で固まっていくものである。そのときのキーワードは『まずは小さな世界で1番になる』ことである。これだけは他に負けない分野を持つ大学は強い。これは企業も同様である。この言葉は女性初の航空会社社長となった江村林香氏(株式会社エアトランセ)の著書名でもある。

(金田 淳一)



FMICS 10月例会 (第529回例会)

 大学倒産時代を迎え何が起こるかと言えば、大学会計原則が大きく企業会計原則に近づく事だと思います。社会的な見地からすれば大学倒産の及ぼす影響は非常に大きい。特に独立行政法人化した国立大学の地方校がひとつでも倒産するとそれが何故予知できなかったかが問題になります。子供を大学に通わせている親から見れば、上場会社の株式に投資をしている事と気分は変わらないと思います。投資するときに開示されている情報すなわちディスクロージャーがポイントになります。その観点からすると大学の情報発信は非常に悪いと言えます。まずはつぶれた原因となる財務問題がクローズアップされるのは必然でしょう。結局放漫経営はすなわち放漫会計の付けでありそれを許す会計原則の問題に帰着するからです。大学教授や大学経営者の給与も当然業績に依存するようになるでしょう。

 次に問題なのは、真の意味での大学のIR活動がまるでなされていない事です。入学試験時期だけであり、日ごろの活動がなされていないように見えます。すべての大学が東大や早稲田になれるものではないし、インターネットの力を借りれば日本に居ながら海外大学に入学する事も可能になりました。市場が成熟して崩壊した80年代後半の経済状態が今の大学を取り巻く環境に近いように思います。現代を見る目が大学人に最も必要な事ではないでしょうか。人が居なければ採ってくることが出来ますし、海外の大学で上場している大学に財務問題のプロを派遣して学ばせる事も必要です。なにが必要で何が不要かという取捨選択が大学経営陣に決定的に欠けているように思います。慶応がやるからうちもやるでは現代は生き残れません。大学におけるニッチを探してそれを地方でいかに実践するかと考えれば、地域との関係を新たに築くしかありません。大学教授は地元の企業経営者と親しく付き合っているのでしょうか

【日時】 2006年10月21日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 4階0477教室

  • 地下1階から高層棟エレベーターで2階まで上がり、さらに階段で4階まで上がってください。中扉を通り抜けて、一番手前のゼミ室が会場です。

【テーマ】 大学競争時代を活きるための原理原則を学ぶ
       企業倒産と大学倒産 その違いを検証する
       アナリスト・社会人・企業人の眼から
       投資としての教育を読む

【発表者】 プロテック代表取締役社長 勝丸 幹也

【参加費】 会員:1,000円 学生:500円 非会員:1,500円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail@fmics.org



YFN 10月例会 (第528回例会)

 恒例の YFN 秋の文化祭、FMICS が生んだ聖徳茶会で20年間顕彰し取り組み続けてきた、明治・大正・昭和と活躍した財界人で文化人であり、近代茶を興した三大茶人と言われる岐阜市柳津町出身の原三渓翁を林原美術館館長・国立民族博物館名誉教授熊倉功夫先生に語っていただきます。聖徳茶会は、今や市民グループ活動へと展開し、NPO組織になり、今回のフォーラムの実施に至りました。皆さまには奮ってご参加ください。

【日時】 2006年10月15日(日)午後2時〜

【会場】 JR岐阜駅前 ぱるるプラザ岐阜 5階 長良の間

【テーマ】 YFN秋の文化祭 原三渓と茶の湯

【講師】 林原美術館館長・国立民族博物館名誉教授 熊倉 功夫

【会費】 800円

【申込&問い合わせ先】 高等教育問題研究会名古屋支部事務局
      林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 総合企画課 058-279-6710)
      nhayashi@ha.shotoku.ac.jp



FMICS Staff Development 181

●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、平日の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力をキリキリと束ねなければなりません。そんなことを具現化する場です

(1)メディアチェック
 あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

(2)テーマを定めた継続的な勉強会
 2005年12月より、池田憲彦さんの新刊 『近代日本の大学人に見る世界認識』 (自由社 \3,600)をテキストにしています。10月は「大蔵 公望・宇垣 一成」(終章)を取り上げます。

【日時】 2006年10月26日(木) 午後6時30分〜8時30分
        その後は、10月26日(木)の予定です。

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室

【テーマ】 近代日本の大学人に見る世界認識 −11−

【参加費】 会員:500円 学生:300円 非会員:1000円

【申込先】 高橋 真義(桜美林大学) mail@fmics.org



FMICS 淵野辺 Staff Development 19

●ゼミナール型勉強会「SD」の首都圏西部地区版。若手を中心に盛り上がっています。この勉強会の原理は極めてシンプルです。参加者が何か1品、ネタを持ち寄り、みんなで議論します。●ネタは、新聞・雑誌記事、業務関連の資料、進めている仕事のアイデア・企画等々、何でも構いません。ちょっとしたものでも思いがけない発見があるものです。●資料は8部程度お持ちください。

●今月は慶応義塾大学日吉キャンパスでの開催となり、開始時刻も30分早い18:30からとなりますので、ご注意ください。

【日時】 2006年10月27日(金) 18:30〜20:00 + 懇親会
  その後は、11月17日(金)桜美林大学PFC、12月15日(金)国連大学本部を予定

【会場】 慶応義塾大学日吉キャンパス (東横線日吉駅隣接)
     第4校舎A棟 J411番教室  アクセスマップ  キャンパスマップ
     *18:20に、日吉駅 改札 銀球前にお迎えあり。

【申込先】 pfc-sd@fmics.org



11月の会報『BIG EGG』発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

●ワイワイガヤガヤと近況報告を兼ねての楽しい時間は、美味しい中華料理屋での食事会へと引きつがれ、例会などのアイデアの多くが、ここで生まれます。例会とは一味違ったFMICSの活動に、皆さまのご協力をお待ちしております。

【日時】 2006年11月2日(木) 午後3時〜6時〜9時+食事会

【会場】 日能研 恵比寿ビル

初めて参加される方は、 mail@fmics.org までご一報ください。当日の連絡先等詳細をお知らせいたします。


速報 11月のFMICS

 競争時代の大学のリスクマネージをベンチャー企業のトップから学び、大学の世界を狙う戦略的な情報の発信のカタチを検証します。

 1.ベンチャー経営の視点から大学経営を考える
   1)シンクプラスのリスクマネージ
   2)大学のリスクマネージ
   3)新しい経営のアイデア

 2.日本発、世界を狙う「Sync+」とは
   1)コンセプト
   2)デモンストレーション
   3)技術の仕組み
   4)ビジネスの仕組み

 3.ディスカッション

【日時】 2006年11月18日(土) 午後4時〜6時30分

【テーマ】 大学競争時代を活きるための原理原則を学ぶ
       企業のトップが語る大学のリスクマネージ

【発表者】 シンクプラス代表取締役社長 川北 潤