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10月5日(水)6時〜
<早番は2時〜> 恵比寿・日能研ビル

2005年9月のFMICS

  • 構造改革の発想(河原 卓巳)

  • アメリカの大学での障害者へのサポート(村上 梓)

  •  FMICS9月例会 9月17日(土) 工学院大学:新宿

  • YFNシンポジウム 9月10日(土)〜11日(日) 岐阜

  •    FMICS SD 9月21日(水) 工学院大学:新宿

  •  FMICS淵野辺SD 9月30日(金) 桜美林大学PFC:淵野辺

  • 速報10月のFMICS 10月15日(土) 工学院大学:新宿

  • 速報11月のFMICS 11月5日(土)〜6日(日) 東北公益文科大学 他:酒田



構造改革の発想

 「健康食品の需要が拡大する一方、大衆薬は販売不振が続く。『大衆薬メーカーは[まず薬ありき]の発想を変えなくては』と話す。『消費者の健康維持が製薬会社の使命。その手段は薬だけではない』。発想の壁を越える重要性を説く」と、伊部幸顕ゼリア新薬工業社長の言が紹介されている。(日本経済新聞「回転いす」2005年9月4日朝刊)

 世は自民党内の造反劇に端を発した想定外の総選挙の投票日直前で、各党各様に構造改革が主張されている。高等教育の行政による構造改革は大学設置基準の大綱化以降に顕著に進行し、1998年の「競争的環境の中で個性が輝く大学」の副題で記憶されている、いわゆる「21世紀答申」以降、いくつかの審議会などの答申・報告が種々の法改正を正当化してきた。この間に国立大学の法人化に向けた2001年の「大学(国立大学)の構造改革の方針」も出された。

 その翌年からは、世界的な研究拠点・博士課程形成のためのCOE、続いて学士・修士課程改善のためのGPなどにより、官製コンクールによる補助金配分でソフト部門の変革を迫っている。さらに本年からは私立大の意思決定に関わる改正私立学校法が適用された。10年前にはおよそ想像できなかった環境変化が進行している。

 しかし、個々の教育機関による自律的な構造改革はどの程度進んでいるだろうか。背に腹は代えられない入試の多様化、セールスポイントづくりのためのキャリア・就職支援、手に職指向に向かう教育課程、横並び意識も多分に感じ取れる授業評価、法改正に対応しただけの大学評価など、受動的な変革ばかりが目立つ。

 経済・社会のグローバル化の中で、人口の縮小、巨額の公的負債、中国経済の台頭といったわが国の危うい未来を担う中核的国民を育成する教育機関が大学であろうが、筆記試験中心の入試、学生視点ではなく教員都合が優先される意思決定、学生を感化できない虚学主体の授業、学生の自発性尊重の美名によるサービス不在の学生支援、教育理念をもった大学経営の不在など、冷戦下での経済と進学率の高度成長期そのままのシステムがほとんど手つかずのまま維持されている。

 このように大学をミクロ的に見れば、構造改革は何も生じていない。大学の本当の構造改革とは前世紀の大学観の「発想の壁を越えた」視点から大学を再構築しなければ、現在・将来の国益につながる成果はますます生じにくくなるだろう。

 「五十年を超す社長歴で体得したのは『理屈や理想だけで経営者は務まらない』という現実。好きな哲学者、サルトルの言葉『実存は本質に先立つ』を引き合いに『事業は厳しい現実を踏まえてこそ成り立つ』」と、佐野実ニプロ社長は述べている。(同上「回転いす」2005年9月2日朝刊) 「本質」に携わる者の「実存」を担っている者への謙虚さがいまこそ必要な時はない。

(河原 卓巳)



アメリカの大学での障害者へのサポート

 アメリカの大学では幅広い年齢層の学生、各国からの留学生、健常者、障害者に関わらず平等に彼らに適したプログラム(サポートや、サービスのプログラムなど)が用意されている。特に地域に密着しているコミュニティーカレッジはユニバーシティー(4年制州立大)などと比べ、地元の公共機関(コミュニティーセンターなど)のサポートもあり、どんな学生でもハンデを感じるこなく学ぶためのサポートが充実している。私が特に感心したことは、軽度、重度の障害に関わらず、大学全体がサポートし、また教授の協力もあり、障害者が健常者と同じ学生生活を送れる環境があることである。

 私の通っているノーマンデールコミュニティーカレッジのポリシーとして、「何らかの障害によって、教室での特別な席、試験の日程や試験会場、ノート製作のサポートが必要な場合、OSD (Office for Students with Disabilities) と授業担当の教授によって、特別な席、試験の日程や試験会場の考慮、あるいはノート製作のボランティアの助けを借りることができる。」とある。OSDから派遣されるノート製作のボランティアのほとんどは学生であり、復習する時に見やすいように、パソコンを使い教授の口頭のレクチャーも出来るだけ聞き漏らさないようにノートを取っているのである。もう一つのサポートとして、大学には常に聴覚障害者のために、専門の手話の通訳者が待機しており、聴覚障害者が受講しているクラスでレクチャーの通訳を行っており、また、グループワークや休憩時間の通訳もおこなってくれるのである。聴覚障害の学生には、授業担当の教授がマイクをつけて、学生はヘッドホンで音量を調節できる機械をステューデントセンターから借りることができのである。また、障害を持った学生だけでなく耳が遠い年配の学生などもそれによってハンデなく授業を受けることが出来る。

 日本の大学に置いても程度の差は有るが、障害者のためのサポートシステムは存在する。しかし、そのための部署や担当課長を置いて対処している大学は希有である。

 大学側の理解とサポートだけでなく、一般の学生の理解も大切なサポートである。車椅子の学生や、盲目の学生、介護犬同伴の学生への理解も深い。日本の社会の中では、特別視され目立ってしまいがちが障害者も、学生の理解、大学と地域のサポートによって当たり前のように生活できる環境がアメリカの大学では成り立っている。

 なお、障害者のうち当該大学が受け入れることが困難な場合は、他大学への紹介等も配慮されている。

(村上 梓)



FMICS 9月例会 (第508回例会)

 国公私立大学がバトルロイヤル的競争の明日はどこに向かうのか。歴史は明日を語る。明治・大正・昭和の近代日本の知識人は、大学をどこに向ける「学是」について、拓殖大学をケーススタディすることによって検証いたします。
 池田憲彦さんからの長文でかなり難解なペーパーをFMICS的にギュッとまとめました。
 国公私立大学のバトルロイヤル的競争に勝ち抜き、国際社会においても存在を確固たるものとするには、私学は建学の趣旨と多くの伝説を「学是」=ミッションというコンセプトとすることにより、私学と官学との決定的な違いとし、揺るぎないポジショニングを獲得する。私学が明確なミッションを持つことは、将来にわたる大競争時代を切り開く有力な武器となる。
 近代日本における国のミッションについて、1945年の敗戦をターニングポイントにして検証をすると、国家経営のミッションが明確にされず、何が真で何が偽かを不明にしたまま現在にいたるのではなかろうか。近代日本の「上滑り」的な国際性においては、近代日本知識人の大学経営に取り組んだ営為まで、日本による負の行為として否定されたのであろうか。「認識と構想と営為」=ミッション・パッション・アクションを明らかにすることは、「帝国大学令」以来、120年の日本の大学行政に内在していた貧しさも表面化することであり、こうした総括は、近現代日本で公認されていた知の限界をも示すだろう。
 拓殖大学の「学是」=ミッションを事例とした大学経営についての探訪は、「国是」とは何か、なぜ必要なのかを問う作業でもあり、個々の私学の「学是」=ミッションの再発見と再確認に通じるであろう。「知」の国際化時代において、大学のミッションを明確にすることは、新たな日本のあるべき姿を明らかにするものである。

【日時】 2005年9月17日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 4階 0471教室

  • 地下1階から高層棟エレベーターで2階まで上がり、さらに階段で4階まで上がってください

【テーマ】 大学競争時代の原理原則を考えるために
        近代日本知識人と大学経営 「国是」と「学是」の形成

【発表者】 前拓殖大学日本文化研究所教授 池田 憲彦

【参加費】 会員:1,000円 学生:500円 非会員:1,500円

【申込先】 出光 直樹(横浜市立大学) idemitsu@yokohama-cu.ac.jp



第19回 YFN やっとかめやなも
FMICS名古屋 シンポジウム(第507回例会)

 やっとかめやなもFMICS名古屋(YFN)の《学びのカタチ》を束ねる恒例の第19回YFNシンポジウムをご案内(再掲)します。
 まずは、聖徳学園岐阜教育大学でのシンポジウムです。懇親会は長良川での歌舞音曲ありの鵜飼い観賞とともに乾杯。夜プロは会場を浄土宗本堂に移しますで踊る企画です。翌日の岐阜観光は温泉にも入ります。今年も岐阜は盛りだくさん。お仲間をお誘い下さい。心からお待ちしています。

【日時】 2005年9月10日(土)13:00 〜 11日(日)16:30

【会場】
   シンポジウム: 岐阜聖徳学園大学 羽島キャンパス本館 8階会議室
   オールナイトYFN: 浄土院 岐阜市東駒爪町16 電話:058-264-0389

【テーマ】 可能性たくさん宣言 YFN 2005
       私たちは明日を創る“WITHびと”になる

【プログラム】
  9/10(土)
   ●第1部 講演 13:00〜16:30

     「苦節40年 大学開放の伝道者 大学開放の可能性を探る」
      (財)全日本大学開放推進機構理事長・上智大学教授 香川 正弘

     「変貌を遂げた岐阜 野武士軍団 岐阜県の改革を語る」
      岐阜県理事・農林経済局長 長屋 栄

     「新設大学院の挑戦 株式会社による専門職大学院」
      WAO大学院大学設置準備室 高橋 輝清

   ●第2部(夕方の部) 17:30〜20:30
     懇親会 鵜飼1303年記念 長良川鵜飼鑑賞 歌舞音曲あり

   ●第3部(夜の部) 22:00〜23:00

     「スローライフ岐阜 長良川から発信」
      NPO長良川環境レンジャー理事長 柴田 甫彦

   ●第4部(オールナイトの部) 24:00〜朝まで
     参加者全員発表&朝まで村上元気塾(予定)
      前早稲田大学副総長・常任理事 村上 義紀

  9/11(日)
   ●第5部
     朝茶と中世文化の華  今様 発祥の地探訪
     朝の茶 浄土院井中庵 亭主・安藤昌空上人
     観光 梁塵秘抄 今様の地 大垣市青墓探訪
     昼食 池田温泉入浴 

   ●解散 J R新幹線 岐阜羽島駅 16:30

【会費】 昼の部のみ千円  夜の部まで1万円  両日1万5千円

【申込&問い合わせ先】 高等教育問題研究会名古屋支部事務局
      林 憲和 (岐阜聖徳学園大学 総合企画課 058-279-6710)
      nhayashi@ha.shotoku.ac.jp



FMICS SD 168

●FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則として第3週の水曜の夜に開催されているゼミナール型の勉強会です。超競争時代をしたたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力をキリキリと束ねなければなりません。そんなことを具現化する場です

(1)メディアチェック
 あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、氏名と簡単なMEMOを付してご持参ください。各自5分間程度のコメントをしていただきます。

(2)テーマを定めた継続的な勉強会
 私たちの予想を遙かに超える状況変化にいかに対処すべきか。大学の危機回避について、ミクロな視点ではなく、大所高所からの意見交換をする場、それがSDです。
 SDは難しいという声があります。ちょっとだけプロッポイかもしれませんが、決してそんなことはありません。皆さまには、お気軽にご参加下さいますようご案内いたします。

【日時】 2005年9月21日(水) 午後6時30分〜8時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス 高層棟27階 2710ゼミ室

【テーマ】 激変する時代を強かに活きる
        大学の危機回避を考える −21−

【参加費】 会員:500円 学生:300円 非会員:1000円

【申込先】 出光 直樹(横浜市立大学) idemitsu@yokohama-cu.ac.jp



淵野辺SD 6

●FMICS の新しい企画が始まりました。ゼミナール型勉強会「SD」を、首都圏西部地区でも開催します。会場はJR横浜線・淵野辺駅北口直結の桜美林大学PFC(プラネット淵野辺キャンパス)です。日程は原則として第4金曜日を予定しています。皆様のご参加をお待ちしています。

(1)メディアチェック
  あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌・資料等のトピックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。10枚程度コピー(原則A4版)してご持参ください。

(2)『Between』誌の講読
 会員の足立さんが編集長を務める高等教育情報誌『Between』(進研アド発行)をメインテキストにして、高等教育をめぐる問題を勉強します。
 8〜9月は、8月1日発行のNo.215号の中から、気になった記事をディスカッションします。

【日時】 2005年9月30日(金) 午後6時30分〜8時30分+懇親会
     その後は、10月14日、11月18日、12月16日を予定。

【会場】 桜美林大学PFC 5階P501教室

【申込先】 出光 直樹(横浜市立大学) idemitsu@yokohama-cu.ac.jp



速報 10月のFMICS

 バトルロイヤル的競争をしている国公私立大学・短期大学の明日はどこに向かうのか。役割分担という発想がない我が国では、ピンからキリまでが頂点に君臨する東大を目標に頑張っています。
 10月のFMICSは、この9月末にアメリカのミネソタ州 Normandale Community College で研修を積まれて帰国された桜美林大学の鳥居さんに、アメリカのコストパフォーマンスの高い高等教育機関であるCCの現状について報告していただきます。
 比較検討材料として、韓国の高等教育の現状を調査してきました高橋も少しお時間をいただきます

【日時】 2005年10月15日(土) 午後4時〜6時30分

【会場】  工学院大学新宿キャンパス (予定)

【テーマ】 大学競争時代の原理原則を考えるために
        検証 日本と外国の大学・短期大学を比較する

【発表者】 桜美林大学 鳥居 聖 / 高橋 真義



速報 11月のFMICS

●秋の定番プログラムとなりました、高等教育問題研究会FMICS & 真義夢考房・真義ゼミと関係大学とのジョイントセミナーの今年の会場は、東北酒田の東北公益文科大学です。●激変する社会環境の中の大学は、もはや研究と教育をミッションとしているだけの存在では生き残りは不可能となります。これからは、中途半端でなく“おせっかいなぐらいのあったかさ”のある学生サービスができる大学、新しいミッションである社会貢献をしっかりと地域に目に見えるカタチにできる大学が元気元気元気になるはずです。●「外めしを喰う」ことは、職員力強化のためには極めて有効です。「SHINGI式自己表現・評価トレーニング」によって、たくさんの皆さまとあったかヒューマンネットークを創ることにも注力いたします。●大学倒産事例として有名となりました酒田短期大学は今、民間企業の手でシルバーホームとしての再生の途に着いています。その現場の見学を予定しています。●これから、プロジェクトチームつくり、1泊2日の企画を練ります。みなさまからのアイデアを募集いたします。また、40分程度の事例発表を希望される方(お二人)も募集いたします。詳細は、FMICSホームページ、真義ブログにご案内いたします。奮ってご参加下さい。

【日時】 2005年11月5日(土)午後1時〜 11月6日(日)午後3時

【会場】  東北公益文科大学、シルバーホーム・コスモス(酒田短期大学跡地)、他

【参考リンク】